石折神(いわさく)・根折神(ねさく)は、イザナギが火神・火之迦具土神を斬った十拳剣の剣先にしたたった血から生まれた神です。磐裂神、根裂神、いわさくのかみ、ねさくのかみ、イワサク、ネサク、などと記されます。
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石折神(いわさく)・根折神(ねさく)とは
石折神・根折神が生まれた由来
伊邪那美神(イザナミ)は神生みの時に、火之迦具土神(ヒノカグツチ)を生むと同時に火傷を負ってしまい、それがもとで亡くなってしまいます。これを嘆き、怒った伊邪那岐神(イザナギ)は、十拳剣(とつかのつるぎ)で火之迦具土神の頸を斬り落とします。このとき剣先にしたたった血から生まれたのが、石折神(いわさく)、根折神(ねさく)、石筒之男神(いわつつのおのかみ)です。
このときに鍔元(つばもと)の血からは、甕速日神(ミカハヤヒ)、樋速日神(ヒハヤヒ)、建御雷之男神(タケミカズチ)が生まれました。この三柱は雷神とされています。そして、刀の柄から指の間に垂れしたたった血からは、闇淤加美神(クラオカミ)、闇御津羽神(クラミツハ)が生まれました。この二柱は谷間の水をつかさどる神とされています。
岩をも裂く石折神
石折神は、磐裂神(いわさく)とも表記されることから、磐根(いわね)を切り裂くという意味が込められているという考え方があります。転じて、岩を裂く神であり、また、岩を裂くほどの切れ味をもった剣の威力そのものを神格化した存在であるといわれています。この説にしたがえば、石折神は剣の神ということもできます。
木の根を切り裂く石折神
根折神も同様で、堅い木の根すらも切り裂くほどの威力という意味となります。しかしながら、磐石(いわむら)の神である石筒之男神とともに生まれたことを考慮するなら、この二柱の神も素直に磐石の神であったと解釈することもできます。つまり、生命の源である血が磐石に飛び散り、確固たる神格を得たとする考え方です。
火と水を使い刀剣を作る流れと神話のつながり
石折神・根折神の誕生に続いて、建御雷之男神など三柱の雷神、闇淤加美神など二柱の水神が次々と出現します。その順序は、そのまま刀剣をつくる順序を述べたものともいわれています。つまり、鉄鉱を火で焼き、火花を散らして鍛え、できた刀剣を谷間の水で冷やす様子が記されているという考え方です。
「折(さく)」が意味するものは?
石折神と根折神の神名にある「折(さく)」とは、凹凸を意味する古語の「サクミ」に通じるものとして、岩の凹凸、転じてそこに飛び散りたまった血から、この神が生まれたと解釈しています。
石折神(いわさく)・根折神(ねさく)の神格
- 剣の神
- 生命力の神
石折神(いわさく)・根折神(ねさく)のご利益・神徳
- 生命力向上
石折神(いわさく)・根折神(ねさく)の別の呼び方・異称
- 磐裂神
- 根裂神
石折神(いわさく)・根折神(ねさく)を祀る主な神社・神宮
石折神(いわさく)・根折神(ねさく)と関わりが深い神々
石折神(いわさく)と根折神(ねさく)は、イザナギ・イザナミの神生みに関わる神々とつながりがあります。
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