主祭神と関係のある神々を祭る摂社・末社
神社に祭られる神には、主祭神(しゅさいじん)と呼ばれるそれぞれの神社本来の神のほかに、主祭神やその神社の由緒と浅からぬ縁があり、主祭神と同じく本殿に祭られる相殿神(あいどののかみ)や、境内または神社の周辺地域に個別の社殿や祠(ほこら)を構えて祭られる「摂社・末社」の神々があります。
摂社・末社は、通常「摂末社」と一くくりで呼ばれ、境内に祭られていれば「境内社」、神社の外にあれば「境外社」と呼ばれています。
もともと、摂社・末社といった区別はありませんでしたが、明治時代に定められた社格制度の中で、官国弊社(かんこくへいしゃ)の神々に関して両者の区別が規定されました。
規定よると、摂社は、末社よりも上位に位置づけられており、
- 本社の祭神の后神(きさきがみ)、御子神(みこがみ)、その他由緒ある神を祭った社
- 祭神が現在地に移し祭られる以前に祭られていた場所にある社
- 本社の祭神の荒魂(あらみたま)※荒ぶる魂 を祭る社
- 本社の地主神を祭る社
- その他、特別な由緒のある神を祭る社
と決められていました。
一方で、摂社以外で本社の祭神と由緒の深い社が末社とされていました。今ではこのような規定はなく、摂社も末社も大きな区別なく使われています。
境内のさまざまな神々
現在、摂社・末社の境内社として祭られている神々は、大きく次のように分けることができます。
一番目には、主祭神の祖神(おやがみ)や御子神などの縁故のある神々や、神話伝承上で主祭神に助力したなどの特別な関係が語られている神々です。このような神々は、相殿神となるケースも多くあります。
二番目には、このような縁故や由緒がないものの、病気治しや火難盗難除けなど特別な力を持つ神々や、特定の職業や職能の守護神など、専門的な力を持つ神々です。この場合、全国的に霊験(れいげん)で知られた神々が祭られるケースが多く、一時的に流行して多くの参拝者を集めることもあり、個人祈願の対象となりやすい神々です。境内社ではなく相殿社となる場合もあります。
三番目には、もともと神社の鎮座する地域内に祭られていた神社が、境内に祭られたケースです。境内社の中では、このケースがかなり多いものと考えられます。
神社合祀(ごうし)でまとめられた神々
現在は、神社といえば集落内に一社だけという印象が強くあります。これは、明治から大正時代にかけて行われた神社合祀の結果で、古くは集落内に複数の神社や祠が祭られていました。
神社合祀とは、複数の神社を一ヶ所にまとめて祭ることで、地域内で中心的な神社にその他の神社や祠が集められたことを言います。
神社合祀の結果、合祀先の神社で相殿神として祭られる神々もあったものの、多くは境内社となりました。
神社合祀で境内にまとめられた神々の中には、同族で祭る神、水神、山神などの生活に密着した小さな神々も多く、事情は各神社によってさまざまです。
もっと神社について知りたい人は
ここまでは、摂社と末社について説明してきました。続いては神社にいらっしゃる神主さんと巫女さんについて説明している「Q.神主(かんぬし)や巫女(みこ)ってどんな人?」をご覧ください。
もっといろいろ知りたい方は、下記リンクから神社についての知りたいページをご覧ください。