「縁起物」の「縁起」とは、もともと仏教の「因縁生起(いんねんしょうき)※因縁によりあらゆる物事が生じ起こること」という言葉を略した言葉です。このことから「物事の起源や由来、物事の吉凶(きっきょう)の前触れ」という意味をもち、とくに神社などでは、「鎮座・創建などの起源や由来、あるいはそれが記された文献」といった意味になっています。
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江戸時代には、「縁起祝い」や「縁起直し」といった縁起をかつぐ風習が一般庶民の間で広がりました。このような縁起を祝う品物のことを「縁起物」といい、縁日や正月に参拝者に授与されるようになります。神棚や縁起棚に飾っておくと、神さまのご加護(かご)が得られ、その年の縁起がよいと考えられています。
縁起物の種類
縁起物は、現在ではいろいろな種類のものが神社などで授与されていますが、もともとは正月の注連飾(しめかざ)りや門松(かどまつ)などを指していました。
とくに広く知られているものには、11月に全国の鷲神社(おおとりじんじゃ)※大鳥神社 で行われる酉の市(とりのいち)で授与される熊手(くまで)があります。
熊手ってなに?
熊手には、福を掻き込むという意味があります。お多福(おたふく)面や千両箱などがつけられている熊手もよく見かけます。地方によっては熊手のことを「かっこめ」ともいいます。
“とり”かえられる鷽
また、福岡の太宰府天満宮や東京の亀戸天神社で行われる鷽替(うそかえ)神事の鷽は木彫りの鳥で、新しいものと「取り替える(とりかえる)」ことで吉が得られると考えられている縁起物の一つです。
破魔矢(はまや)ってなに?
正月に神社で授与される代表的な縁起物として「破魔矢」があります。破魔矢とは魔除けの飾り矢のことで、絵馬や鈴などで飾られており、「御神矢(ごしんや)」とも呼ばれています。
もともとは江戸時代以降、男児の初正月や初節句に、その前途をお祝いして破魔弓(はまゆみ)という飾り弓と矢を一緒に贈る風習がありました。その後、やがて矢だけが魔除けとして神社で授与されるようになったのが、破魔矢であるといわれています。
また、建物の上棟祭(じょうとうさい)※新築の建物の工事や竣工後の無事を祈願するお祭りで棟上(むねあげ)ともいう では、屋根の鬼門の方角(北東・南西)に破魔弓とともに破魔矢を立てる風習も残っています。
破魔矢にはどんな意味があるの?
「破魔」とは仏教の言葉で「悪魔を打ち破る」、転じて「煩悩(ぼんのう)を払う」という意味があります。
破魔矢の「はま」も魔を破ると書くことから、その語源は「魔を払う矢」とする説がありますが、その一方で「破魔」は当て字であるという説もあり、明らかではありません。「はま」という言葉には「弓矢で射る的」という意味もありました。
その他の縁起物
これらのほかにも杓子(しゃくし)や、招き猫などたくさんの縁起物があり、中には郷土玩具となっている場合もあります。神社によっては、その神社ならではの縁起物を授与しているところもあります。
縁起物のほかにもっと知りたい人は
ここまで縁起物について説明してきました。続いては、誰もが引いたことがある、そして日本人が大好きなおみくじについて「Q.おみくじってなに?」をご覧ください。
ほかにも知りたい方は、下記リンクから神社についての知りたいページをご覧ください。