伊邪那美(イザナミ)は、国生みののち黄泉国へ神避り、死の起源をつくった神です。イザナミ・いざなみ・伊邪那美神(イザナミノカミ)・伊邪那美命(イザナミノミコト)・伊弉冉尊などと呼ばれています。
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伊邪那美(イザナミ)とは
伊邪那美(イザナミ)は、古事記・日本書紀の記紀神話冒頭における天地創成・天地開闢(てんちかいびゃく)神話の終わりに現れる神です。国生み以前は伊邪那美命(イザナミノカミ)、以降は伊邪那美命(イザナミノミコト)と表記されています。
古事記・日本書紀の伊邪那美(イザナミ)
古事記では伊邪那岐神(いざなぎのかみ)に配偶される女神として、神代七代(かみよななよ)の神々の最後に出現します。「日本書紀」「先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)」「古語拾遺(こごしゅうい)」では伊弉冉尊(いざなみのみこと)と表記されています。
伊邪那美(イザナミ)の神名の由来
「伊邪」は誘うこと、「美」は女性を指す語であることから、神名は、男性を媾合(こうごう)※交合 に誘う女性との意味だと考えられています。日本の国土(大八嶋国(おおやしまくに))や自然物を象徴する神々を生み成したことからわかるように、大地母神(だいちぼしん)的な性格を強く持ちます。
生と死に影響をもつ伊邪那美(イザナミ)
神生みの途中、火神・火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)を生み陰部を焼かれ、その苦痛のなかで金・土・水などの神々を反吐(へど)・糞尿(ふんにょう)から生んだのち、神避り(かむさり)ます。つまり亡くなります。
伊邪那岐命は、亡き妻となった伊邪那美命を追っていったん死者の住む黄泉国(よみのくに)を訪れるますが、伊邪那美命の醜悪な姿を見て葦原中国(あしはらのなかつくに)へ逃げ戻ります。
その脱出の最後の場面で伊邪那美と伊邪那岐は絶縁を言い交わし、伊邪那美が「一日千人を殺す」と言ったのに対し、伊邪那岐は「千五百人を生む」とこたえます。この「事戸わたし(ことどわたし)」の神話は、人間の生と死の起源とされています。
人間の生へ多大な恩恵だけでなく、死という最大のマイナス要素をもたらす点に、伊邪那美命のはなはだ複雑で両義的な性格を見ることができます。
伊邪那岐について詳しく知りたい方は伊邪那岐(イザナギ)の説明をご覧ください。
母なる大地の神・伊邪那美(イザナミ)
火は大地を刺激して冶金(やきん)や土器の製法を発達させ、水は鎮火(ちんか)や灌漑(かんがい)をなし、糞尿は肥料として農業生産を高めるなど、自然現象はそれぞれに人間の文化的行為を成立させる固有の神徳を持っています。これらすべて、根本ではすべて母なる大地の神としての伊邪那美命の神徳でもあまります。
大地につながるこの神、伊邪那美命が生(生成・生産)と強くかかわるのは当然ですが、その対極である死とも分かちがたく結びついている事実はとても興味深いです。
伊邪那美(イザナミ)が持つ生死観
このことからは、大地に根ざした自然物の生死流転(しょうじるてん)※たとえば植物の冬の枯死と春の復活 をモデルにした、死がもう一つの生の世界への移行であった古い時代の循環的な生死観が想起されます。
伊邪那美(イザナミ)の神格
伊邪那美(イザナミ)の神格として、代表的なものをご紹介します。
- 万物を生み出す生成力
- 死をつかさどる神
- 大地の母神
伊邪那美(イザナミ)のご利益・神徳
伊邪那岐(イザナギ)のご利益・神徳として、代表的なものをご紹介します。
- 延命長寿
- 縁結び
- 事業成功
伊邪那美(イザナミ)の呼び方・記され方
伊邪那美(イザナミ)の呼び方としては、最近はカタカナで「イザナミ」と記されることが多いです。また、古事記では「伊邪那美神」や「伊邪那美命」、日本書紀では「伊弉冉尊」と記されています。
- イザナミ
- いざなみ
- 伊邪那美神命(イザナミノミコト)
- 伊邪那美命(イザナミノミコト)
- 伊弉冉尊
- 黄泉津大神
- 道敷大神
伊邪那美(イザナミ)を祀る主な神社・神宮
伊邪那美(イザナミ)を祀る神社は日本中に多くあります。ここでは代表的な神社を紹介します。一番有名な神社は多賀大社です。
その他、伊邪那美(イザナミ)を祀っている代表的な神社もご覧ください。
伊邪那岐(イザナギ)と関わりが深い神々
伊邪那岐(イザナギ)は神生みをおこなった神として、多くの関わりが深い神々がいます。その中でも一番関わりが深いのは伊邪那岐(イザナギ)です。
あわせて水蛭子神のページもご覧ください。