葦の船に乗せて流され、のちに福の神・恵比寿となる「水蛭子神(ヒルコノカミ)」。戎神(えびすがみ)・恵比寿神として有名です。水蛭子・蛭子神・蛭子命・恵比寿・恵比須・戎大神・西宮大神など、多くの呼び名があります。
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水蛭子神(ヒルコノカミ)とは
水蛭子神(ヒルコノカミ)は、古事記では伊邪那岐神(イザナギ)と伊邪那美神(イザナミ)が天御柱(あめのみはしら)を立て、八尋殿(やひろどの)で新婚生活を始めたときに最初に生んだ神と記されています。しかし、水蛭子(ヒルコ)の身体には骨がなかったので、葦の船に乗せて流されてしまいます。
日本書紀でも同じような文章として、「三歳になっても立つことができなかったので、天磐櫲樟船(あめのいわくすふね)に乗せて風のまにまに放ち棄てた」と書かれています。
いずれもひどい話のように思えますが、古来にはこうした捨て子の話が、英雄神話のなかでしばしば語られています。
再生・昇華を象徴する水蛭子(ひるこ)
水蛭子(ヒルコ)が乗せられた葦船や天磐櫲樟船は、再生を約束する柩(ひつぎ)を象徴する器(うつわ)だと考えられます。未熟なものを葦船に乗せることで、より完全で強大なパワーをもつ神へと昇華させることを祈念したのです。つまり、裏を返せば水蛭子(ひるこ)は英雄であり、きわめて重要な神であったと考えることができます。
水蛭子(ヒルコ)の神名の由来
神名のヒルコは、「骨のない水蛭(ひる)のような子」と解釈するのが一般的ですが、一説には大日孁貴(おおひるめのむち)※太陽神の巫女 に対応する語とも考えられています。つまりヒルメに対応するヒルコは、太陽神と非常にかかわりの深い神と考えることができるのです。
日本書紀では、蛭児(ひるこ)は日の神(天照大御神・アマテラス)、月の神(月読命・ツクヨミ)に続いて誕生し、ついで素盞嗚尊(スサノオ)が生まれたとなっています。つまり、三貴子(さんきし)である「天照大御神」「月読命」「須佐之男命」に肩を並べる重要な神と位置づけられている、と考えることができるのです。
戎神・恵比寿・恵比須となる水蛭子(ヒルコ)
葦の船で流された水蛭子は、摂津国(せっつのくに)の西宮に流れ着き、漁師の戎(えびす)三郎という人物に拾われます。そして以降は戎三郎という神となりました(源平盛衰記)。これは福をもたらす客人神(まろうどがみ)として考えることができます。
また、葦の船が流されて龍宮にたどりつき、しばらくそこにとどまったのち、この国へ帰り、住吉の社で盛大な祭りを行ったともいわれます(神道集)。
つまり水蛭子は、戎神(恵比寿神・恵比須神)に昇華したのです。恵比寿様は、現在では大きな鯛を抱えたふくよかな容姿から、商売繁盛、家運隆盛の福神として、絶大なる人気を誇っています。
水蛭子神(ヒルコノカミ)の神格
水蛭子(ヒルコ)の神格として、代表的なものをご紹介します。
- 海の神
- 商業の神
水蛭子神(ヒルコノカミ)のご利益・神徳
水蛭子(ヒルコ)のご利益・神徳として、代表的なものをご紹介します。
- 豊漁守護
- 海上安全
- 商売繁盛
水蛭子神(ヒルコノカミ)の呼び方・記され方
水蛭子神(ヒルコノカミ)はヒルコとして水蛭子・蛭子神・蛭子命と記されるとともに、戎大神・恵比寿・恵比須・西宮大神など恵比寿様として呼ばれることの方が多いです。
- ヒルコノカミ
- ひるこのかみ
- 水蛭子神
- 水蛭子
- 蛭子神
- 蛭子命
- 戎大神
- 恵比寿
- 恵比須
- 西宮大神
水蛭子神(ヒルコノカミ)を祀る主な神社・神宮
水蛭子神(ヒルコノカミ)を祀る神社は日本中に多くあります。有名な神社は、西宮神社、蛭子神社です。
ほかにも代表的な神社として
- 須部神社(福井県遠敷郡)
があります。
水蛭子神(ヒルコノカミ)と関わりが深い神々
水蛭子神(ヒルコノカミ)と特に関わりが深い神々は、水蛭子(ヒルコ)を生んだ伊邪那岐(イザナギ)・伊邪那美(イザナミ)です。あわせてご覧ください。
