神主や巫女は神と人との仲介者
普通の人は、神様に祈り願いをこめることはできても、神が実際にどのように思っているのか、直接知ることはできません。神と人との間には、必ず仲介役が入り、人の思いを神に届け、神の意思を人に伝える役割を担う人が必要なのです。
これは、世界中の宗教にみられる神と人との関係の基本的な形で、神道では、神主(かんぬし)や巫女(みこ)と呼ばれる人々が、仲介者の役割と担ってきました。
神主という職名は存在しない?
現在では、神主というと一般には祭祀(さいし)を担っている神社職員(神職)を呼ぶ際に使われる言葉になっていますが、実際には神主という職名は存在しません。
神主とは本来、祭りの中で人々を代表して神と接し、人々に対しては神の代わりとして振る舞う存在でした。
なので神主とは、職名というよりは祭りのたびに割り振られる役割の名称といえるでしょう。
現在も地方によっては、神社の神職とは別に、特定の祭りに氏子が順番で神主役を勤める「頭屋(とうや)」や「一年神主」と呼ばれるものがあります。これらが、本来の神主の姿を表しています。
巫女の役割とは?
巫女は、現在は神社でお守りやお札の頒布や浦安舞(うらやすまい)を舞うなど、補助的な仕事を担う女性となっています。
歴史的には、神社に属さないで遍歴する者もいました。祈祷や神楽の中で神がかりして託宣(たくせん)することも多くありました。
身分は低くとも神祭りには重要な女性宗教者なのです。
現在の神職と巫女
現在、神職とされるのは、神社に所属して祭りを執り行うことを職業としている人々のことです。
具体的な職名としては、宮司(ぐうじ)を最上位として、祢宜(ねぎ)・権祢宜(ごんねぎ)があるほか、神社によっては宮司に次ぐ立場として権宮司が置かれているところもあります。
また少数ではありますが、宮司を引退した後に、名誉宮司としてその名を留める場合もあります。
伊勢神宮の神職
伊勢の神宮では一般の神社とは違い、大宮司・少宮司・祢宜・権祢宜・宮掌(くじょう)という職名があるほか、大宮司の上に皇族から選ばれる祭主(さいしゅ)という特別な役目があります。
これらの職名は、職階と呼ばれる各神社内の神職の役職序列です。全国の神職に一律に適用される序列としては、階位と身分とがあります。
神職の序列「階位」と「身分」
階位は、神職としての資格あるいは免許のランクで、神道の徳目である「浄き明き正しき直き心(きよき あかき ただしき なおき こころ)」にちなんで、浄階(じょうかい)・明階(めいかい)・正階(せいかい)・権正階(ごんせいかい)・直階(ちょっかい)の五ランクがあります。
いずれも神社本庁の認定委員会が試験や経験・人格などによって決めるもので、階位のランクによって、つくことのできる職階が違ってきます。
一方で身分は、階位や職階と経験や人格・業績などを総合して定められるもので、特級・一級・二級上・二級・三級・四級の六ランクに分かれています。
これは、着用する装束(しょうぞく)の種類や色柄の違いとして、目に見える形で現れます。巫女には資格は必要ありませんが、神職になりたい場合は、階位取得が必要となります。
神主や巫女のほかにもっと神社について知りたい人は
ここまでは、神主と巫女について説明してきました。続いては、知っているようで実は知らない人が多い、正式な参拝の作法について説明している「Q.神社のお参りの仕方・作法って?」をご覧ください。
もっといろいろ知りたい方は、下記リンクから神社についての知りたいページをご覧ください。