天手力男神(アメノタヂカラオ)は、天照大御神を天石屋から引き出した怪力の持ち主で、たぐいまれなる腕力・握力を持っている力の神です。天手力男、天手力雄神、天手力雄命、アメノタヂカラオなどとも表記されます。
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天手力男神(アメノタヂカラオ)とは
天手力男神は(アメノタヂカラオ)、天石屋戸(あめのいわやと)神話に登場する神で、石屋に籠もった天照大御神(アマテラス)を引き出した男神です。天孫降臨神話にも登場します。
日本書紀での天手力男神(アメノタヂカラオ)の神名
日本書紀では、手力雄神(タヂカラオ)と表記されています。神名の天とは「天上(高天原)の存在」との意を含む尊称で、手力は文字通り手の力を表します。比類なき腕力・握力を誇る男神という意味です。
古事記での天手力男神(アメノタヂカラオ)の活躍
古事記では、高天原での須佐之男命(スサノオ)の乱行を恐れた天照大御神(アマテラス)が、天石屋戸に籠もってしまいます。そのため高天原と葦原中国が常闇(とこやみ)となってしまい、世界は邪神の騒ぎ声や多くの災いが起きてしまいます。
そこで思金神(オモイカネ)が一計を考えます。長鳴鳥を集めて鳴かせるなどの対応策を行ったのち、天宇受売(アメノウズメ)に滑稽な動作踊りを踊らせます。これを見た神々はどっと笑い、不審に思った天照大御神は石屋の戸を細く開けて外をうかがいます。
戸を動かし天照大御神を連れ出した天手力男神
そのとき戸の側に隠れ控えていたのが天手力男神です。ここで天手力男神は、天岩戸の戸となっていた岩を動かし、天照大御神(アマテラス)を外に出すことに成功します。これにより世界は再び光を得て、秩序と安定を取り戻すのです。
天手力男神は、天照大御神(アマテラス)が二度と天岩戸に籠ることができないように、戸となっていた岩を投げ飛ばします。岩は長野県の戸隠山まで飛んでいったと伝わっており、戸隠神社へと話がつながっていきます。
天岩戸神話について
この天岩戸神話は、しばしば日蝕や鎮魂祭(太陽と生命力の衰弱する冬、遊離していく魂を身体の内に鎮めようとする神事)との関連が指摘されます。
しかしながら一番重要なのは、天照大御神の復活によって秩序が混沌に勝ち、天照大御神が明確に高天原の最高神となったことです。そのため、天手力男神を神話展開上の必要から要請された、観念的な神とする意見もあります。
いずれにしても、最高神である天照大御神との神話上のつながりの強さによって、天手力男神は後代も著名な存在であり続けことになります。
仏教における天手力男神(アメノタヂカラオ)
密教では天照大御神が大日如来と同一視されたため、天手力男神は大日如来の化身・使いである不動明王と習合し、山岳信仰などで重視されました。
天手力男神(アメノタヂカラオ)の神格
- 力の神
- 技芸の神
天手力男神(アメノタヂカラオ)のご利益・神徳
- 技芸上達
- スポーツ上達
- 厄よけ
天手力男神(アメノタヂカラオ)の別の呼び方・異称
- 手力雄神
天手力男神(アメノタヂカラオ)を祀る主な神社・神宮
天手力男神(アメノタヂカラオ)と関わりが深い神々
天手力男神(アメノタヂカラオ)は天照大御神(アマテラス)を筆頭に天岩戸神話と関連が深い神々と関わりがあります。
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