天鈿女命・天宇受売命(アメノウズメ)は、天石屋戸にこもってしまった天照大御神を外に連れ出すために、天石屋戸の前で踊り、天照大神の興味をひいた芸能の神です。他の表記のされ方としては、あめのうずめ、天宇受賣命、大宮売神、大宮能売命、オオミヤノメノカミ、宮比神、ミヤビノカミ、天宇受賣、天細女、猿女君などとも呼ばれます。
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天宇受売命(アメノウズメ)とは
天照大御神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸に隠れたとき、石屋の前で踊りを披露して、天照大御神の興味をひいた女神です。古事記では天宇受売命、日本書紀では天鈿女命と表記され、アメノウズメノミコトと呼ばれています。
天宇受売命(アメノウズメ)の神名の由来
神名にある宇受売とは、かんざしを意味します。かんざし、櫛(くし)、髪などは、どれも神霊を宿す依代(よりしろ)となる霊物です。転じて、神がかった巫女(みこ)を表すことになったのだろうと考えられます。
天岩戸神話と天宇受売命(アメノウズメ)
天宇受売命(アメノウズメ)の登場
天岩戸神話にて天宇受売命が登場する場面は次のようになっています。
まず天香山から掘り出した賢木に、神の魂がよりつく八尺瓊勾珠(やさかにのまがたま)でつづった五百津之御統之珠(いおつのみすまるのたま)、八尺鏡(やたのかがみ)、そして神の衣装となる布帛(ふはく)をかけて立てます。
その前で、神官である天児屋命(アメノコヤネ)が神饌を捧げ、祝詞を唱えて神を迎えます。その後天宇受売命(アメノウズメ)の踊りが始まります。
古事記の記載
このときの様子を、古事記には「天香山の天の日影(ひかげ)をたすきにかけ、天の真拆(まさき)をかずらにして、天香山の小竹葉(ささば)を手草(たぐさ)に結い、天石屋戸にうけ伏せて踏み轟かせ、神がかりして、胸乳(むなち)をかきいで、裳緒(もひも)をホトにおし垂れた」と記されています。
とても臨場感のある描写で、古代においては、実際にこうした儀式が日常的に行われていたのかもしれません。
神がかる踊りと巫女としての役割
この踊りは、ただのダンスではありません。いわゆるトランス状態を導き、神がかるための手段ではないでしょうか。つまり天宇受売命は、神をその身に降ろす巫女だと考えることができるのです。
神の器として身体をさしだしている間は、巫女自身は何も覚えていません。何かメッセージがあれば、神官が聞き届けることになるのです。
猿女君(サルメノキミ)の祖・芸能の神
天岩戸の場面は、神降ろしの儀礼によって、巫女に神霊が宿ったことを伝える場面なのです。このため天宇受売命は、のちに宮中祭祀、なかでもとくに、巫女にして神楽職をつかさどった猿女君(サルメノキミ)の祖とされています。
また、日本書紀には「巧みに俳優(わざおぎ)をなし」という記述が見られることから、芸能一般の神様としても広く愛されています。
天宇受売命(アメノウズメ)の神格
- 芸能の神
天宇受売命(アメノウズメ)のご利益・神徳
- 技芸上達
- 夫婦和合
- 縁結び
天宇受売命(アメノウズメ)の別の呼び方・異称
- 天鈿女命
- 猿女君
天宇受売命(アメノウズメ)を祀る主な神社・神宮
天宇受売命(アメノウズメ)と関わりが深い神々
天宇受売命(アメノウズメ)は、天岩戸神話と関わりが深く、天岩戸神話といえば主役は天照大御神(アマテラス)です。
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