思金神(オモイカネ)は、天石屋戸にこもった天照大御神を外に連れ出す知恵を考え、思慮分別を一身に兼ね備える神です。八意思兼神、思金神、思兼神、常世思金神、常世思金神、八意思金神、オモイカネ、おもいかね、などとも呼ばれます。
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思金神(オモイカネ・おもいかね)とは
思金神(オモイカネ・おもいかね)は、思慮深さを兼ね備えた神、知恵の神です。高天原を主導する高御産巣日神(タカミムスビ)の御子として登場します。常世思金神(トコヨノオモイカネ)、思兼神、あるいは八意思金神(ヤゴコロオモイカネ)といった異名があります。
思金神(オモイカネ)の天石屋戸での活躍
古事記によると、天照大御神(アマテラス)が天石屋戸にこもってしまったときに、どうしたら天照大御神をふたたび外に連れ出すことができるのかと、その一連の方法を考えたのが思金神だと記されています。
天石屋戸での思金神(オモイカネ)の企て
このとき、思金神が考えた方法は、
- まず常世の長鳴鳥(ながなきどり)をできるだけ多く集めて、間断なく鳴かせることでした
- さらに、鍛冶神の天津麻羅(アマツマラ)に命じて天安河(あめのやすかわ)の岩から鉄鉱石を採掘させました
- そして採掘した鉄鉱石から、伊斯許理度売命(イシコリドメノミコト)に命じて鏡をつくらせました
- また、玉祖命(タマノオヤノミコト)に命じてたくさんの勾玉、八尺瓊勾珠(やさかにのまがたま)をつないだ五百津之御統之珠(いおつのみすまるのたま)という首飾りをつくらせました
- さらに、天児屋命(アメノコヤネノミコト)と布刀玉命(フトダマノミコト)に命じ、天香山の牡鹿の肩の骨を焼いて占いをさせ、これら一連の儀式を行うのに最もよい日取りを決めました
こののち、天照大御神を呼び戻すための儀式が始まります。
天香山から根ごと掘り起こしてきた賢木(さかき)に神の依代である幣帛(みてぐら)がかかげられ、神をその身に降ろす巫女、天宇受売命(アメノウズメ)が招聘されます。
呪術師・シャーマン・神官としての役割
これらの一連の呪術的儀礼を指揮・統括していたのが思金神でした。
これらのことから、思金神はある種の呪術師、シャーマンであった可能性を考えることができます。祀られる神というよりも、神々を祀る側、つまり神官だと考えることができます。
思金神(オモイカネ)の神名の解釈
また思金神は、天孫降臨に際して天津神側での参謀的な立場にいて、その能力を発揮しています。江戸時代の国学者・本居宣長は、著書『古事記伝』のなかで、思金(思兼)という語について「数多(あまた)人の思慮(おもんぱか)る智を一(ちをひとつ)の心に兼持てる(かねもてる)意なり」と解釈しています。
これはつまり、大勢の人がもつような思慮や知恵を、たったひとりの身に兼ね備えているという意味です。異名にある八意にも、こうした考え方が反映されていると考えることができます。これらの属性から、受験の際の合格祈願の神、あるいは工匠(こうしょう)の神として信仰されています。
思金神(オモイカネ・おもいかね)の神格
- 知恵の神
- 学問の神
思金神(オモイカネ・おもいかね)のご利益・神徳
- 技術向上
- 出世開運
- 入試合格
思金神(オモイカネ・おもいかね)の別の呼び方・異称
- 思兼命
- 八意思兼命
- 天八意思兼命
思金神(オモイカネ・おもいかね)を祀る主な神社・神宮
思金神(オモイカネ・おもいかね)と関わりが深い神々
思金神(オモイカネ・おもいかね)は天石屋戸神話に関わる神々との関係が深いです。天鈿女命・天宇受売命(アメノウズメ)、天手力男神(アメノタヂカラオ)などと関わりがあります。。
ほかにも、
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