大山津見神(オオヤマツミ)は、須佐之男命(スサノオ)と瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)の義父にして神武天皇の曾祖父となる神です。大山祇神と記されることも多く、他にはオオヤマヅミ、おおやまつみのかみ、大山積神、和多志大神、酒解神などと記されます。
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大山津見神(オオヤマツミ)とは
神名の大山津見神(おおやまつみのかみ)は、「大山に鎮まる(しずまる)霊」、あるいは「山津持」(本居宣長説)すなわち山をもつという意味で、この神が山々を統括することを示しています。なので神徳も広く、農業・鉱業はもちろん、漁業・商工業などの分野にまで及び、全国の三島神社を中心に崇敬を集めています。
古事記・日本書紀での大山津見神(オオヤマツミ)
大山津見神は、古事記では伊邪那岐神(イザナギ)と伊邪那美神(イザナミ)の御子と記されています。また日本書紀の一書(異伝)には、伊弉冉尊(イザナミ)に死をもたらした火之迦具土神(ヒノカグツチ)を伊弉諾尊(イザナギ)が斬り殺すと、そこから大山祇神(オオヤマツミ)、雷神(イカヅチ)、高龗神(タカオカミ)の三神が生まれたと記されています。
ほかには伊予国風土記の中に、大山津見神は「難波高津宮御宇天皇(なにわのたかつのみやにあめのしたおさめたまいしすめらみこと)※仁徳天皇 の御世に顕れ、百済国より渡り来坐した」と記されています。いずれにしても、古来多くの文献に登場するきわめて重要な神なのです。
さまざまな神の父、大山津見神(オオヤマツミ)
大山津見神は、多くの神々の父です。たとえば、須佐之男命(スサノオ)によって八俣大蛇(やまたのおろち)の脅威から救われ、その妻となった櫛名田比売(クシナダヒメ)の両親、足名椎(アシナヅチ)と手名椎(テナヅチ)の父神にあたります。
須佐之男命は、櫛名田比売との間に八嶋士奴美神(ヤシマジヌミ)をもうけます。さらに大山津見神の娘である神大市比売(カムオオイチ)との間に、大年神(オオトシ)、宇迦之御魂神(ウカノミタマ)、兄八嶋士奴美神をもうけます。
そしてさらに須佐之男命は、大山津見神の娘である木花知流比売(コノハナチル)とも結ばれ、布波能母遅久奴須奴神(フハノモジクヌスヌ)をも、もうけています。
天孫降臨にも関わる大山津見神
また、天孫・瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)の妻となった石長比売(イワナガヒメ)と木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)も、大山津見神の御子です。このほか大山津見神には、天之狭土神(アメノサヅチ)、国之狭土神(クニノサヅチ)、天之狭霧神(アメノサギリ)、国之狭霧神(クニノサギリ)など八柱の御子がいます。
初代天皇である神武天皇へのつながり
なお、瓊瓊杵尊の妻となった木花之佐久夜毘売が生んだ火遠理命(ホオリノミコト)※山幸彦(やまさちひこ) は、初代・神武天皇の祖父にあたるので、大山津見神は初代天皇の曾祖父ということになります。
火遠理命ら三柱の御子の誕生を喜んだ大山津見神は、天甜酒(あまのたむさけ)を醸し、神々にふるまったとの由来があり、大山津見神を酒解神、娘の木花之佐久夜毘売を酒解子神と呼び、ともに日本酒の祖神となっています。
大山津見神(オオヤマツミ)の神格
- 山の神
- 海の神
- 酒造の神
大山津見神(オオヤマツミ)のご利益・神徳
- 山林守護
- 漁業守護
- 鉱山業守護
大山津見神(オオヤマツミ)の別の呼び方・異称
- 大山祇神
- 大山積神
- 酒解神
大山津見神(オオヤマツミ)を祀る主な神社・神宮
大山津見神(オオヤマツミ)と関わりが深い神々
大山津見神(オオヤマツミ)多くの神々の父と呼ばれるだけあり、関わりが深い神々が多くいます。代表的な神を紹介します。