Q.意富斗之地神(オオトノジ)・大斗乃弁神(オオトノベ)とは？

意富斗之地神(オオトノジ)・大斗乃弁神(オオトノベ)は、目に見えない生命力が具体的な形態をもつ様子を示し、神代七代の五代目に登場する男女一対の神です。

読みたい項目からどうぞ

意富斗之地神・大斗乃弁神とは

古事記では神代七代(かみのよななよ)のうち、五代目にあたる神々です。宇比地彌神(ウイジニ)・須比智彌神(スイジニ)、角杙神(ツノグイ)・生杙神(イクグイ)に続いて出現します。

宇比地彌神(ウイジニ)・須比智彌神(スイジニ)とは、国生みの舞台となる豊かな大地の始源の姿を示し、神世七代で初めて男女一対として登場した神で...

2016-06-26 15:12

この二神のあとには、於母陀流神(オモダル)・阿夜訶志古泥神(アヤカシコネ)、そして伊邪那岐神(イザナギ)・伊邪那美神(イザナミ)が現れます。日本書紀では、大戸之道尊(オオトオジ)・大苫辺尊(オオトノベ)とも表記されています。

伊邪那岐(イザナギ)は、伊邪那美(イザナミ)とともに国生み・神生みをおこなった、日本国土を作った神です。一般的には、イザナギ・いざなぎ・伊邪...

2016-06-15 14:20

伊邪那美(イザナミ)は、国生みののち黄泉国へ神避り、死の起源をつくった神です。イザナミ・いざなみ・伊邪那美神(イザナミノカミ)・伊邪那美命(...

2016-06-15 14:57

古事記は国の礎の成立とその国の豊かさを、国之常立神と豊雲野神の出現を通して語ったのちに、伊邪那岐神(イザナギ)・伊邪那美神(イザナミ)が出現するまでの国の状態の変化を、宇比地彌神・須比智彌神、角杙神・生杙神、意富斗之地神・大斗之弁神の出現に重ねて述べています。

国之常立神(クニノトコタチ)は、天之常立神と対をなし、天と地に境ができころ表れた、大地そのものを神格化した存在です。国常立尊、国底立尊とも記...

2016-06-26 14:10

豊雲野神(トヨクモノ)は、神代七代に登場し、生命に満ちた豊穣な大地を神格化した存在です。異称として、豊斟渟尊、豊斟渟神、豊国主尊、豊組野尊と...

2016-06-26 14:13

神代七代までの天地開闢(てんちかいびゃく)神話では、天地の展開と神々の出現は、重層的に語られています。

神代七代の三代目にあたる宇比地彌神・須比智彌神は、生命力に満ちた泥土(でいど)・泥砂(でいさ)を神格化した存在です。

続く四代目の角杙神・生杙神に神名にある「グイ」は、動詞形が「グム」であり、「芽ぐむ」「涙ぐむ」などのように、何かの兆しが見えるという意味をもります。つまりこの二神は、泥土から生命が兆す様子を表象、神格化しているのです。

これに続いて意富斗之地神・妹大斗之弁神が現れます。ヂ(地)とべ(弁)は男と女の意味を持ちます。「オホト」には諸説ありますが、後の展開をみると男女の性器だと考えられます。

なぜなら神話ではこの二神に続き、まず地面または身体が不備なく整ったことへの賞賛の言葉と関係づけられる於母陀流神・阿夜訶志古泥神が現れます。

次に出現した伊邪那岐・伊邪那美二神の国生みにより国土・大八嶋国(おおやしまくに)が誕生するしますが、その際二神による交合が行われたからでです。

ここに、男女の形態・身体の特徴と交合・出産の可能性を象徴する性器のイメージを見るのは自然でしょう。

意富斗之地神・大斗之弁神とは、生命に具体的な形態をもたらす国(大地)の働き(生成力)の神格化である一方で、伊邪那岐・伊邪那美二神が具体的な形態(男女の身体)を手に入れつつ、出現に向かう経過をも表現しているのです。