弥都波能売神(みつはのめのかみ)は、神生みの終わりに生まれた、火を鎮める水神にして豊穣をもたらす農耕神です。罔象女神、罔象女、水波能売命、みづはのめのかみ、などとも記されます。
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弥都波能売神(みつはのめのかみ)とは
弥都波能売神は、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の二神(日本書紀では伊弉諾尊と伊弉冉尊の二神)による国生み・神生みの終わりに、伊邪那美命の尿から生まれた水をつかさどる女神です。
水の神であるため、後世では民間の井戸の神と習合することもありました。『古事記』では、弥都波能売神(みつはのめのかみ)と表記されます。
伊邪那美命が火神・火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)を生んで大火傷を負い、病の床にふしたとき、苦しみのなかでまず糞をし、次に尿をします。弥都波能売神は、その尿より生まれた神で、続くもう一柱の水神・和久産巣日神(わくむすび)が生まれたのち、伊邪那美命は亡くなります。
日本書紀の弥都波能売神
『日本書紀』では、水神・罔象女(みつはのめ)と表記されています。伊弉冉尊が火神に身を焼かれて苦しんでいるとき、神生みの最後の神として誕生します。
なお『日本書紀』の神武天皇即位前紀では、天皇の祭儀に奉仕する厳姫(いつひめ)が供えた水を、厳罔象女(いつのみつはのめ)と呼んでいます。
大地母神としての弥都波能売神
伊邪那美命は、大地母神(だいちぼしん)的な要素をもつ神です。その神話的イメージとしての身体が大地であるなら、そこから排泄される尿は水であり、尿である弥都波能売神は水神といえるでしょう。
そのうえで神話の展開を見れば、弥都波能売神とは、畏怖すべき火の霊威(れいい)を弱め、鎮めることのできる水の霊力を神格化したものと考えることができます。
伊邪那岐命は、二柱の出現と伊邪那美命の死ののち、母神を焼き殺した火之迦具土神の頚を切ります。そのようなイメージの連鎖のなかに、すでに火を鎮める水のというモチーフが、間接的に語られているのです。
弥都波能売神の神名の由来
神名については、ミツハ(弥都波)を「水(み)つ早(は)」として「水の出始め」の意味として、井戸や泉と関係させる説がある一方、これを「水走(みつは)」として、灌漑のための引水とする考え方もあります。これは農耕と水とのかかわりを強調する考えです。
実際に弥都波能売神の神話的イメージにある尿は、農耕にとって非常に重要な肥料となります。その意味で弥都波能売神は、火を抑(おさ)える水神であるとともに、生産に豊穣をもたらす農耕神でもあるといえるでしょう。
弥都波能売神(みつはのめのかみ)の神格
- 水神
- 農耕神
弥都波能売神(みつはのめのかみ)のご利益・神徳
- 農耕守護
- 祈雨・止雨
- 子授け
弥都波能売神(みつはのめのかみ)の別の呼び方・異称
- 罔象女
弥都波能売神(みつはのめのかみ)を祀る主な神社・神宮
弥都波能売神(みつはのめのかみ)と関わりが深い神々
弥都波能売神は和久産巣日神(わくむすび)とのつながりが深いと言えるでしょう。
ほかにも弥都波能売神とつながりが深い代表的な神々を紹介します。
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